宝塚のトップスターは、
トップスターになることが決まったときから
退団のことを考えはじめる、と聞いたことがあります。

ファンからしたら
やっとトップ!
さあこれから!
というときに、
ご本人はもうすでにどう終えるか、いつ終えるかを考えはじめているという
なんとも切ないお話。

王道のベルばら…(ファンでした^^)

動物を飼うのもこれに似ているな、と感じることがよくあります。

飼うということは、
かならず、
お別れを経験するということ。
自分が先に旅立たない限りは
それはもう最初から決まっていること。

そう言えば、私が馬を持つとき(お馬さんはオーナーになるかどうかという感覚といえばいいでしょうか。お家で飼えない限りは乗馬クラブなどに預けますが、所有して養育する権利を持つということになります)に、
先輩オーナーさんから衝撃の言葉をいただいたことがあります。

「食うまで覚悟できてるか?」

ん?
え?
聞き返しました。
ちょっと自分の脳みそがついていけなくて。
そうしたら、やっぱりもう一度言われました。

「もし、その馬が死んで、
 そしたら食ってやろう、というところまで覚悟ができてるか?」

衝撃です。
ショウゲキノヒトコトデス。

馬を持つというのは、結構なことです。

経済的な負担も大きいです。
馬自体を購入する費用だけでなく、
1年飼養するだけで、軽く新車で自動車を買えるかな…。
安くてマーチ、いいお値段の乗馬クラブなんかだと高級SUVとか?くらい買えてしまう可能性があります。
長生きのお馬さんをずっと飼養していると、マンション買えちゃうくらいかも。

30年くらい面倒をみるつもりで迎えました(当時)

一般的なワンちゃんや猫ちゃんといったペットさんと比べて、
馬については場合によっては手放すこともあります。
途中で、もしかしたら死を選ぶこともあり得ます。

オーナーの望むパフォーマンスができない場合は、
手放して新しいオーナーに託すか、
もしくは “このままただ養っていくくらいなら…” ということで死を選ぶこともあり得るのです。
未だに経済動物というカテゴリーである所以です。

だから、この馬を一生養っていくのか?
または場合によっては手放したり死を選ぶくらいの覚悟があるのか?
それぐらい真剣に「オーナーになる」ということを考えているのか?
と、先輩オーナーは諭してくれたのだと思います。
(食べる必要はないんですけどね。それは過激だといまも思うんですけど)

思えば、社会的地位の高い方や収入が高い方の多い「所有馬を持っている」人たちの世界。
私のような30歳になるかならないかくらいで馬を持つ “小娘” はそう多くないわけですから、周囲はとても心配してくださっていたのだろうと想像できます。

そんな心配と、
いい意味でのお節介と、
関わってくれた人たちの言葉で改めて
「馬を飼うこと」の重大さ、
ひいては『動物を飼うこと』の重さをひしひしと感じ
決断までじっくり考えることになりました。

いい機会でした。

 → 私と私の馬との話は「私のペットロス」をご覧ください

子犬・子猫は無条件にかわいいですが…

馬でたとえてしまうと、いかんせん話が壮大になってしまうのですが、
ワンちゃんやネコさんについても
私は同じことが言える
と思っています。
(食べないですよ、食べる話は忘れてくださいね)

最期のときまで
しっかり面倒を見る覚悟をすること。

初めて飼う、というときは特に想像力を働かせてみることが大切です!

飲み会帰りのお父さんが、子供が喜ぶだろうとお土産にヒョイっと犬を買って帰ったり、クリスマスが近いからと気楽にペットショップで猫を買ったり…。

本来は、動物を家族に迎える覚悟って、そこまで甘くないと思います。
しっかり考えて、日々のお世話から最期のときまで、もてる想像力を全力で使って想像してみてくださいね。

ペットさんも歳をとる。私たちの4〜6倍のスピードで

愛護センターに飼い主自らがペットを持ち込むケースでは信じられない話もしばしば耳にします。

  • 毛が抜けることに気づいたから
  • 飼ってみたら子供がアレルギーだった
  • ペット不可の物件だった

「そんなの事前に考えたり調べりゃわかるだろー!」みたいなお話ですよね。
ガックリします。
その他にも…

  • 老齢になってきたから
  • 悲しくなるから、看取りたくないから
  • 歳をとって世話にお金や手間がかかるから
  • 病気になって、病院代を払いたくないから

というなんとも身勝手な話まで。

それ、あきまへん。
飼い主の資格、ほんとーーーーに、ナシです。
全然ないです。

先に書いた「事前に分かってるだろう」は論外として、
年齢を重ねるとともに変化するペットさんについてのあれこれの理由も
想像力を働かせれば飼う前にわかりますよね。

年齢にかかわらず病院を受診することも…

もちろん、
お金と時間とスペースと、それには人それぞれ限りがあります。

あなたの、
飼い主さんのできる範囲の、できれば最大限までの範囲のなかで
ペットさんのケアをしてあげればいいだけ。

高度な医療を受けさせてあげられないから、私は資格がない。
なんてことはないのです。

そこはまた別の話。
想像力を働かせて、未来まで一度考えてみて、
できる範囲で、最大限幸せにしてあげようと思う方は
一歩を踏み出してもいいのではないかと私は思っています。

ちなみに、
ペット飼育にかかるコストを計算したことはありますか?

しっかりとした調査がされています。

犬の生涯必要経費(H18年度より)
・超小型〜大型まで合わせた平均:約180万円
・サイズ別での幅:約150万円〜200万円超

※犬の年齢ごとに算出した平均支出金額を平均寿命まで足しあげることにより算出
出典:平成30年 犬 飼育・給餌実態と支出https://petfood.or.jp/data/chart2018/4.pdf
(一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査より)

猫の生涯必要経費(H18年度より)
・外猫/家猫合わせた平均:約108万円〜122万円超

※猫の年齢ごとに算出した平均支出金額を平均寿命まで足しあげることにより算出
出典:平成30年 猫 飼育・給餌実態と支出https://petfood.or.jp/data/chart2018/5.pdf
(一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査より)

ごはん、おやつ、おもちゃ、キャリーケースetc…

ペットショップなどで
「かわいい〜♡」と眺めているうちは夢みたいな話でも、
いざ飼うとなったら現実です。

オラオラ、覚悟したのか〜!?

なんて言いませんが、
飼い主さんの心得として…。

飼う前に深呼吸して、
一度、10年後、15年後を想像してみてくださいね。